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トーマス・チッペンデール ～伝説の家具デザイナーの足跡～
～目次～
1. プロローグ：チッペンデール様式の魅力に迫る
2. トーマス・チッペンデール：家具の巨匠の軌跡
3. 豪華な彫刻と曲線美：チッペンデール様式家具の特徴
4. 繊細なデザインの傑作：チッペンデールチェアの魅力
5. エピローグ：チッペンデール様式の魅力を体感しよう
1. プロローグ：チッペンデール様式の魅力に迫る
トーマス・チッペンデール（1718年～1779年）
チッペンデール様式は、18世紀のイギリスで生まれた家具デザインの傑作といわれています。
イギリスの家具デザイナー、トーマス・チッペンデール（1718年～1779年）が創案した家具様式で、マホガニー材を多く使用し、ロココ様式、ゴシック様式、シノワズリなどのさまざまな要素を折衷した意匠が特徴です。
マホガニー材 ☛木材について詳しくはこちら ロココ様式 ☛ロココ様式につて詳しくはこちら ゴシック様式 ☛ゴシック様式について詳しくはこちら
その美しいスタイルは、今日でも多くの人々を魅了しており、曲線美や贅沢な彫刻、そして高度な職人技術が融合したチッペンデール様式の家具は、クラシック家具の中でも特に優雅です。
その魅力は時代を超えて受け継がれています。
2. トーマス・チッペンデール：家具の巨匠の軌跡
トーマス・チッペンデールは、18世紀のイギリスで活躍した家具デザイナーであり、その名前は世界中で家具の最高峰を指す言葉として知られています。
彼はシノワズリ（中国趣味）と ロココ様式 ☛詳しくはこちらから を調和させたデザインでも有名で、その作品は時を超えて称賛されています。
トーマス・チッペンデールは1718年6月5日に、ウェスト・ヨークシャーの市場町オトリーで生まれました。
彼は徒弟修業を経て、1748年にロンドンに出て独立しその後、彼はセント・マーティン・イン・ザ・フィールズ教会の隣に商館、事務所、工場倉庫を建設し、多数の専門職人による本格的な家具製作を行いました。
さらに、上流階級の室内設備や装飾の施工も手がけています。
イギリス・ロンドン＝セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
1754年には、家具の専門書として最初の「紳士と家具師のための指針（The Gentlemen and Cabinet-maker’s Director）」を出版し、一躍この時代の最も有名なデザイナーの一人となりました。
この本には、人気の高い家具の寸法図が含まれており、顧客はこの本から選んだデザインを依頼し、他の家具師が複製しました。
ロココ様式はこの本に対して支配的な影響力を持っていましたが、中国趣味であるシノワズリやゴシック風（☛ゴシック様式ついて詳しくはこちらから）の要素も含まれていました。
1770年代からは、新古典主義の建築家ロバート・アダムが設計したハーウッド・ハウス（リーズ近郊）やオスタレー・パーク＆ハウス（ロンドン郊外）などのために、マホガニー材を用いた新古典主義様式の家具をデザインしました。
ロバート・アダム（1728年-1792年）
スコットランド出身の建築家、家具デザイナー、インテリアデザイナー
イギリスに新古典主義建築（ネオクラシシズム）を広めた。
ハーウッド・ハウス
トーマス・チッペンデールは1779年に亡くなり、セント・マーティン・イン・ザ・フィールズに埋葬されました。彼の名声と業績は、彼の没後もなお多くの人々によって称賛され続けています。
3. 豪華な彫刻と曲線美：チッペンデール様式家具の特徴
チッペンデール様式の家具は、18世紀にイギリスで生まれた美しい芸術様式であり、その豪華な彫刻と曲線美が特徴とされています。このスタイルは、クイーン・アン様式という先行する様式から派生し、フランスのロココ様式の影響も受けています。
その結果、猫足の脚や鷹の爪が球をつかんだ形の脚など、独特でエレガントなデザインが特徴的です。
チッペンデール様式の家具に見られる特徴の一つは、テーブルの上部の板が通常の形状ではなく、サパーテーブルとして知られる特殊なデザインを持つことです。
このサパーテーブルは、使用しないときに上部の板を垂直に立てて壁際に置くことができる便利な仕組みを備えておりさらに、飾り棚や書棚の頭部にはスワンネックの飾りが付き、扉の格子組みはゴシックのトレサリーの形を模したものが用いられました。
この時代には、中国の影響が顕著であり、椅子の背もたれや脚、ベッドなどにも中国建築を模した形状が取り入れられ、これらの家具はチャイニーズチッペンデールとして知られています。
また、チッペンデール様式の家具でよく使用される材料の一つが高級なマホガニー材です。☛木材について詳しくはこちらから
マホガニー材は軽量でありながら丈夫で、彫刻を施しやすい特性を持っています。
このため、繊細で華やかなデザインの家具が多く生み出されておりマホガニー材はチッペンデール様式の家具の豪華さと優雅さをさらに際立たせる要素となりました。
チッペンデール様式の家具はその豊かな彫刻と独特のデザインによって、18世紀のイギリスで最も優れた家具の一つとされています。その特徴的なスタイルは、時代を超えて多くの人々に愛され続けています。
4. 繊細なデザインの傑作：チッペンデールチェアの魅力
チッペンデールは数多くの家具をデザイン・製作しましたが、その中でも特に印象的なのがチェアです。その繊細なデザインと優雅な曲線は、まさに美の極致を表しています。チッペンデールのチェアには、以下の４つのタイプがあります。
a. クイーン・アン調：
ガブリオールレッグ（猫脚）とクロウ＆ボール（爪と玉）が特徴で、縦型のスプラット（背の中央板）が優雅さを際立たせます。猫脚の曲線美と玉と爪の彫刻が、チッペンデールチェアに品格とエレガンスを与えています。
b. ロココ調：
背にロココ風のリボンが施されているリボンバックチェアは、華やかで優美なデザインが特徴です。リボンの繊細な彫刻や曲線美は、チッペンデールチェアに優雅な雰囲気をもたらしています。
c. ゴシックリバイバル調：
垂直な脚と背にゴシックアーチが施されており、古典的なゴシック様式の要素が取り入れられています。ゴシックアーチの装飾は、チッペンデールチェアに独特の荘厳さと力強さを与えています。
d. シノワズリ（中国趣味）：
背がまっすぐで中国風の装飾が施され、脚もまっすぐで竹に似たモチーフが用いられています。チッペンデール後期の作品スタイルであり、後世にもっとも影響を与えたデザインの一つです。このスタイルは、東洋のエキゾチックな魅力をチッペンデールチェアに取り入れ、新たな視覚的魅力を提供しています。
これらのチェアは、チッペンデールの独創的なデザインと職人技術の結晶であり、その繊細さと優雅さは多くの人々を魅了しています。豪華な彫刻と曲線美が融合したチッペンデールチェアは、単なる座るための家具ではなく、美の芸術品として賞賛されています。
5. エピローグ：チッペンデール様式の魅力を体感しよう
余談ですが、ディズニーのキャラクターで、かわいいシマリスのコンビ「チップ＆デール」の名前は、このチッペンデールが由来だと言われています。
チッペンデール様式の優雅さや魅力から着想を得て、この愛らしいキャラクターの名前を付けたのかもしれませんね。このようなエピソードも、チッペンデール様式の魅力をより身近に感じることができる要素となっています。
チッペンデール様式の家具は、単なる家具ではなく芸術品とも言えるほどの美しさを持っています。
その優雅さと贅沢さは、クラシック家具の中でも群を抜いており、この記事を読んだあなたも、ぜひチッペンデール様式の家具の魅力を体感しに、メゾン・ド・マルシェへ足を運んでみてください。
