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ジョージアン様式 ~イギリス黄金時代の息吹を感じさせる家具~
~目次~
1. プロローグ:ジョージアン様式の家具の魅力
2. ジョージ王朝(ジョージ1世からジョージ4世まで)について
2-1. ジョージ王朝とは
2-2. ジョージ王朝の時代背景
2-3. ジョージ王朝とジョージアン様式
2-4. ジョージ王朝の代表的な人物
3. ジョージアン様式の家具の歴史
3-1. アーリージョージアン様式
3-2. ミッドジョージアン様式
3-3. ジョージアン様式における家具デザイナー
4. ジョージアン様式の家具
5. ジョージアン様式の建築物
6. アメリカにおけるジョージアン様式
7. エピローグ:時を超えて愛される理由
1. プロローグ:ジョージアン様式の家具の魅力
ジョージアン様式とは、18世紀から19世紀にかけてイギリスで流行した家具の様式のことで、洗練されたデザインと高い品質で、現在も世界中で愛され続けています。
このTOPICS記事では、ジョージアン様式の家具の魅力、歴史、代表的な家具などを紹介していきます。
2. ジョージ王朝(ジョージ1世からジョージ4世)について
2-1. ジョージ王朝とは
ジョージ王朝は、1714年から1830年まで続いたイギリス王室です。
ハノーヴァー家出身のジョージ1世が即位したことにより始まり、ジョージ4世が王位を退位したことによって幕を閉じました。
ジョージ王朝は、イギリス史上最も長く続いた王室であり、政治、経済、文化において繁栄を極めた黄金期と言われています。
2-2. ジョージ王朝の時代背景
ジョージ王朝時代は、イギリスが世界大国としての地位を確立した時代です。
植民地の拡大と産業革命によって、イギリスは莫大な富を蓄積しました。
また、政治においては、議会制民主主義が発展し、国民の権利が拡大し、
文化面では、文学、音楽、美術などが発展し、イギリスはヨーロッパ文化の中心地となりました。
2-3. ジョージ王朝とジョージアン様式
ジョージ王朝時代に流行した家具様式が「ジョージアン様式」です。
ジョージアン様式の家具は、当時の貴族や富裕層の暮らしを反映しており、重厚感と優美さを兼ね備えたデザインが特徴です。
マホガニー材(☛詳しくはこちら)を用いた家具が多く、曲線と直線が調和した洗練されたデザインが特徴です。
また、精巧な彫刻や装飾が施された家具も多く、当時の職人技の高さを窺えており、
ジョージアン様式の家具は、イギリスの伝統文化を代表するものであり、現在でも世界中のコレクターから愛されています。
2-4. ジョージ王朝の代表的な人物
ジョージ1世(1698年-1727年)
・ドイツ生まれで、英語を話せなかったため、イギリス臣民とのコミュニケーションに苦労した。
・政治は側近に任せており、自身は芸術や科学に興味を持っていた。
・王室の財政を健全化し、王権の強化に努めた。
・ロバート・ウォルポール(1676年-1745年)を首相に登用し、イギリス初の長期政権を築いた。
ジョージ2世(1683年-1760年)
・ジョージ1世の長男。
・父とは対照的に、政治に積極的に関与した。
・ロバート・ウォルポール、その後はウィリアム・ピット (初代チャタム伯爵 1759年-1806年) を首相に登用し、イギリスを繁栄に導いた。
・オーストリア継承戦争や七年戦争など、数々の戦争を経験した。
・ジョージアン様式の家具が流行し始めた時代。
ジョージ3世(1738年-1820年)
・ジョージ2世の長孫。
・アメリカ独立戦争などを経験し、イギリス帝国の衰退を目の当たりにした。
・フランス革命やナポレオン戦争など、ヨーロッパの激動の時代を生き抜いた。
・産業革命が進展し、イギリスは世界最大の工業国となった。
・ジョージアン様式の家具が成熟し、洗練されたデザインが特徴となった。
ジョージ4世(1762年-1830年)
・ジョージ3世の息子。
・派手な生活で知られ、王室の財政を悪化させた。
・ウォーターローの戦いの勝利を記念して、バッキンガム宮殿を改築した。
・ジョージアン様式から、より華麗で装飾的なリージェンシー様式への移行期。
ジョージ王朝は、イギリス史上最も長く続いた王朝であり、政治、経済、文化において繁栄を極めた黄金期と言われています。4人のジョージ王は、それぞれ異なる個性と功績を持ち、イギリスの歴史に大きな足跡を残しました。
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3. ジョージアン様式の家具の歴史
ジョージアン様式は、1714年から1820年までの約100年間にわたって流行した家具様式です。
この長い期間の中で、ジョージアン様式は大きく2つの時代に分かれます。
3-1. アーリージョージアン様式(1714年-1760年頃)
ジョージ1世とジョージ2世の時代に流行した様式です。
この時代のジョージアン様式の家具は、バロック様式とロココ様式の影響を受けており、曲線的なデザインが特徴です。
バロック様式について☛詳しくはこちら
ロココ様式について☛詳しくはこちら
代表的な家具デザイナーとしては、トーマス・チッペンデールが挙げられます。
チッペンデールの家具は、猫脚やボールアンドクロウと呼ばれる装飾が施された椅子や、ティルトトップテーブルなどが有名です。
また、この時代には、マホガニー材が家具材として広く普及しました。
マホガニー材は、耐久性が高く、美しい木目を持つ木材です。ジョージアン様式の家具において、マホガニー材は重厚感と高級感を演出する重要な役割を果たしました。
3-2. ミッドジョージアン様式(1760年頃-1820年頃)
ジョージ3世とジョージ4世の時代に流行した様式です。
この時代のジョージアン様式の家具は、新古典主義の影響を受けており、直線的なデザインが特徴です。
代表的な家具デザイナーとしては、ロバート・アダム、ジョージ・ヘップルホワイト、トーマス・シェラトンなどが挙げられます。
・アダムの家具は、メダリオンやフルーティングと呼ばれる装飾が施されたものが有名です。
・ヘップルホワイトの家具は、盾形やハート形の背面を持つ椅子などが有名です。
・シェラトンの家具は、幾何学的なデザインを取り入れたものが有名です。
また、この時代には、サテンウッドやローズウッドと呼ばれる木材も家具材として使用されるようになりました。サテンウッドについて☛詳しくはこちら
サテンウッドやローズウッドは、美しい木目を持つ木材であり、ジョージアン様式の家具にさらに洗練された印象を与えました。
3-3. ジョージアン様式における家具デザイナー
ジョージアン様式は、多くの優れた家具デザイナーが活躍した時代でもあります。
ここでは、ジョージアン様式を代表する3人の家具デザイナーをご紹介します。
トーマス・チッペンデール(1718年-1779年): イギリスで最も著名な家具デザイナーの1人。 猫脚やボールアンドクロウと呼ばれる装飾が施された椅子や、ティルトトップテーブルなどが有名。(☛詳しくはこちら)
ロバート・アダム(1728年-1792年): 建築家であり、インテリアデザイナーでもある。 メダリオンやフルーティングと呼ばれる装飾が施された家具などが有名。
ジョージ・ヘップルホワイト(1729年-1786年): 盾形やハート形の背面を持つ椅子などが有名。
トーマス・シェラトン(1751年-1806年): 幾何学的なデザインを取り入れた家具などが有名。
ジョージアン様式の家具は、伝統的な様式と革新的なデザインが融合した、洗練された美しさを持つ家具です。
重厚なマホガニー材を用いた家具は、曲線と直線が見事に調和し、時代を超えて愛される普遍的なデザインとなっています。
4. ジョージアン様式の家具
ジョージアン様式の家具は、その洗練されたデザインと美しい木目、そして重厚な作りから、時代を超えて愛され続けています。
ここでは、ジョージアン様式の代表的な家具の種類と、それぞれの時代における特徴について詳しくご紹介します。
■チェア:ジョージアン様式のチェアは、時代によってデザインが大きく変化しました。
a:アーリージョージアン様式
チッペンデール様式:猫脚やボールアンドクロウと呼ばれる装飾が施されたものが有名。 背もたれ:高い背もたれと曲線的なデザインが特徴。 座面:張地付きのものが主流。
b:ミッドジョージアン様式
アダム様式:メダリオンやフルーティングと呼ばれる装飾が施されたものが有名。 背もたれ:直線的なデザインと幾何学的な装飾が特徴。 座面:張地付きのものが主流。 シェラトン様式:盾形やハート形の背面を持つものが有名。 背もたれ:直線的なデザインと幾何学的な装飾が特徴。 座面:張地付きのものが主流。
■ソファ:ジョージアン様式のソファは、背もたれが高く、肘掛けが付いたものが主流でした。
a:アーリージョージアン様式
曲線的なデザインと重厚な作りが特徴。
張地には、ベルベットやダマスク織りなどの高級素材が使われていました。
b:ミッドジョージアン様式
直線的なデザインと幾何学的な装飾が特徴。
張地には、シルクやサテンなどの明るい色の素材が使われるようになりました。
■テーブル:ジョージアン様式のテーブルには、ダイニングテーブル、サイドテーブル、ドレッシングテーブルなど、用途に合わせて様々な種類のテーブルがあります。
a:アーリージョージアン様式
ティルトトップテーブル:天板を傾けて収納できるテーブル。
ゲインテーブル:引き出しが付いたテーブル。
b:ミッドジョージアン様式
ペデスタルテーブル:脚が1本柱になったテーブル。
コンソールテーブル:壁に沿って設置するテーブル。
■キャビネット:ジョージアン様式のキャビネットには、食器棚、書棚、衣類収納など、様々な種類のキャビネットがあります。
a:アーリージョージアン様式
重厚な作りと精巧な彫刻が特徴で、ガラス扉付きの食器棚などが人気でした。
b:ミッドジョージアン様式
直線的なデザインと幾何学的な装飾が特徴で、書籍を収納する書棚などが人気でした。
5. ジョージアン様式の建築物
ジョージアン様式の家具は、当時流行していたジョージアン様式の建築物と一体的にデザインされており、ジョージアン様式の建築物は、均整のとれた美しい外観と、豪華な内装に古典的なモチーフを取り入れた装飾
が特徴です。
ホートン・ホール(Houghton Hall)
ホートン・ホールは、イギリスのノーフォークにあるジョージアン様式の代表的な建築物で、18世紀に初代ロバート・ウォルポール卿によって建てられ、ウィリアム・ケントが設計を手掛けました。
ホートン・ホールは、その壮麗な外観と豪華な内装で知られています。
外観:
ホートン・ホールの外観は、均整のとれた美しいプロポーションが特徴です。
中央には2つのポルティコが設けられ、左右には対称に配された窓が並びます。
建物の外壁は、クリーム色の石灰岩で覆われており、重厚感と気品を漂わせています。
内装:
ホートン・ホールの内装は、豪華絢爛という言葉がぴったりです。
壁には美しい絵画が飾られ、天井には精巧なフレスコ画が描かれており、床にはマーブルやモザイクタイルが敷き詰められ、豪華さを演出しています。
ホートン・ホールは、ジョージアン様式の建築様式を体現した傑作と言えるでしょう。
ケンウッド・ハウス(Kenwood House)
ケンウッド・ハウスは、イギリスのロンドンにあるジョージアン様式の邸宅です。18世紀に建てられ、ロバート・アダムが内装を手掛けました。
ケンウッド・ハウスは、その洗練されたデザインと美しい内装で知られています。
外観:
ケンウッド・ハウスの外観は、ホートン・ホールとは異なり、より繊細な印象を与えます。
中央にはポルティコが設けられ、左右には対称に配された窓が並びます。
建物の外壁は、淡いクリーム色の石灰岩で覆われており、上品な雰囲気を漂わせています。
内装:
ケンウッド・ハウスの内装は、ロバート・アダムの洗練されたデザインが随所に感じられます。
壁には美しい絵画が飾られ、天井には繊細な装飾が施されており、床には木製のパーケットフロアが敷き詰められ、温かみのある空間を演出しています。
ケンウッド・ハウスは、ジョージアン様式の建築様式の中でも、特に洗練されたデザインの邸宅と言えるでしょう。
ジョージアン様式の建築物は、イギリス各地に現存しており、その時代を代表する建築様式として現在も愛されています。
6. アメリカにおけるジョージアン様式
ジョージアン様式は、イギリスだけでなく、アメリカでも広く流行しました。
特に、アメリカ植民地時代(17世紀後半-18世紀後半)には、イギリスから渡ってきた家具職人によって、多くのジョージアン様式の家具が制作されました。
アメリカのジョージアン様式の家具の特徴
アメリカのジョージアン様式の家具は、イギリスのジョージアン様式の家具を模倣したものが多く見られますが、いくつかの点で違いがあります。
素材:イギリスではマホガニー材が主流でしたが、アメリカではクルミ材やオーク材などの木材もよく使用されました。
装飾:イギリスのジョージアン様式の家具は精巧な彫刻や装飾が施されていることが多いですが、アメリカのジョージアン様式の家具は比較的シンプルなデザインが多いです。
寸法:イギリスのジョージアン様式の家具よりも、全体的に小型のものが多いです。
アメリカのジョージアン様式の家具や建築物は、イギリスの影響を受けながらも、独自の特徴を発展させたもので、これらの違いは、アメリカとイギリスの文化や生活様式の差を反映していると考えられます。
7. エピローグ:時を超えて愛される理由
ジョージアン様式は、時代を超えて愛され続ける理由は、その洗練されたデザイン、確かな技術、そして歴史的な背景にあります。
■洗練されたデザイン
ジョージアン様式の家具は、シンプルで洗練されたデザインが特徴です。曲線を用いた優雅なフォルムと、無駄のないシンプルなデザインは、どんな空間にも溶け込み、優雅で洗練された雰囲気を演出してくれます。
■確かな技術
ジョージアン様式の家具は、当時発達した木工技術を用いて作られており、家具は非常に精巧で高品質なものでした。丈夫で長持ちする家具として知られており、世代を超えて受け継がれていくような、永続的な価値を持つ家具と言えます。
■歴史的な背景
ジョージアン様式は、イギリスが世界大国として繁栄した時代に流行した様式です。当時の貴族階級の邸宅が建てられ、家具もそれに合わせて豪華なものが作られました。ジョージアン様式の家具を所有することは、歴史の一端を担っているような気持ちにさせてくれます。
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