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古代から続く美の系譜 ~クラシックスタイル家具に宿るデザインの源流~
~目次~ 1.はじめに~クラシックスタイル家具の魅力と「古代のデザイン」 2.クラシックデザインのはじまり~ギリシャ建築の美学 3.柱が語る様式美~ ドリス式・イオニア式・コリント式 4.壮麗なる継承~ ローマ建築がもたらした影響 5.ローマ後期に開花した様式~トスカナ式・コンポジット式の特徴 6.まとめ~古代の美を現代の暮らしに
1.はじめに~クラシックスタイル家具の魅力と「古代のデザイン」
クラシックスタイル家具って、なぜこんなにも長く愛され続けているのでしょうか?
その理由のひとつは、実は“古代のデザイン”にルーツがあるからなんです。たとえば、ギリシャやローマの建築に見られるような柱や装飾のデザインが、形を変えて今の家具に息づいているんですね。

ドリス式やイオニア式といった柱のデザインを見たことがある方もいるかもしれません。あの美しい彫刻やバランスの取れたラインは、現代のクラシック家具にもそっと取り入れられていて、空間に重厚感や品格を与えてくれます。
クラシック家具の魅力は、ただ「伝統的」なだけではなく、何千年も前の美意識が現代の暮らしと自然に溶け合っているところにあるんです。見た目の華やかさだけでなく、どこか落ち着くような安心感があるのは、その歴史の積み重ねがあるからかもしれませんね。
この記事では、そんなクラシック家具の“デザインのルーツ”をたどる旅にご案内します。ギリシャ建築からローマ建築、そしてそこから生まれた柱の様式など、デザインがどのように受け継がれてきたのかをご紹介しながら、クラシックスタイル家具の魅力を再発見していきましょう。
2.クラシックデザインのはじまり~ギリシャ建築の美学
クラシックスタイル家具の“原点”ともいえるのが、古代ギリシャの建築です。
あのパルテノン神殿に代表されるような建物を思い浮かべてみてください。どっしりとした柱、美しく整ったシンメトリー、そして無駄のないシンプルさ。そのすべてが、「人間が心地よいと感じる美しさとは何か?」を突きつめた結果なんです。

ギリシャ建築の最大の魅力は「バランスの美」。高さと幅の比率、柱と柱の間隔、細かな装飾の位置まで、すべてが計算され尽くしています。古代の人々は、自然や人間の体に見られる“調和”を建築に取り入れ、それを通して「理想の美」を表現しようとしたんですね。
では、その精神がどのように家具のデザインに活かされているのでしょう?
たとえば、クラシック家具によく使われる直線的なラインや、繰り返しのパターン(モールディングやレリーフなど)は、神殿建築の柱や梁(はり)の装飾がもとになっています。また、左右対称のフォルムや安定感のあるシルエットも、ギリシャ建築の影響をしっかり受け継いでいます。
一見すると「重厚で伝統的」なイメージのクラシック家具ですが、その内側にはギリシャ建築の“数学的な美しさ”や“人間らしい調和”が息づいているんです。まさに「見た目だけじゃない魅力」が詰まっているんですね。
♪♪♪♪パルテノン神殿の柱は、わずかに膨らんでいる!? 完全な直線ではなく、中央が少し膨らんだ「エンタシス」という技法が使われています。これにより、遠目に見たときに“まっすぐ”に見えるという視覚効果があるんです。♪♪♪♪
3.柱が語る様式美~ ドリス式・イオニア式・コリント式
クラシック家具のなかで、ひときわ存在感を放つ“柱”のデザイン。実はこれ、古代ギリシャ建築にルーツがあるってご存知でしたか?
ギリシャ建築には、代表的な3つの柱のスタイルがあります。それが「ドリス式」「イオニア式」「コリント式」。どれも神殿建築に用いられてきた格式あるデザインで、それぞれにしっかりとした個性があるんです。
◆ ドリス式 ― シンプルだからこその力強さ

装飾を極力おさえた、どっしりとした柱が特徴です。直線的で無骨なその姿は、まさに“静かな強さ”を感じさせてくれます。
クラシック家具では、テーブルやキャビネットの脚部にドリス式の要素がよく見られます。直線的で安定感のあるデザインは、落ち着いた空間づくりにぴったり。ミニマルで飽きのこない美しさが魅力です。
◆ イオニア式 ― 優雅な曲線の美しさ

くるんと巻いた“渦巻き模様(ボリュート)”が柱の上部にあしらわれているのが特徴で、より繊細で女性的な印象です。
このイオニア式は、チェストやソファの装飾脚などによく取り入れられています。優雅なラインが空間をやわらかく彩ってくれるので、クラシックインテリアに温かみや気品を加えたいときにおすすめです。
♪♪♪イオニア式の渦巻き模様は“羊の角”がモチーフ? 優雅なボリュート(渦巻き)は、古代では聖なる動物とされた羊の角や海の波を象徴していたとも言われています。♪♪♪
◆ コリント式 ― 豪華絢爛な芸術性

柱頭にアカンサスの葉(ギリシャの植物)をモチーフにした華やかな装飾が施されていて、3つの様式の中でも最も華やかで装飾的です。
クラシック家具では、コリント式はまさに“主役級”。ドレッサーの脚やサイドテーブルの支柱、装飾柱などに用いられると、一気に空間がゴージャスに。細部までこだわったデザインに、つい見惚れてしまうはずです。
このように、クラシック家具の柱のデザインには、古代ギリシャの美学が色濃く息づいています。それぞれの柱が持つ表情や意味を知ることで、家具選びがもっと楽しく、もっと深くなるはずです。
次に家具を見に行くときは、ぜひ「これはどの様式の柱かな?」なんて想像してみてください。きっと、新たな発見がありますよ。
4.壮麗なる継承~ ローマ建築がもたらした影響
古代ギリシャ建築の流れをくみながらも、さらに壮麗さとスケール感を加えて発展したのがローマ建築です。
そして、この“壮麗なる継承”こそが、クラシックスタイル家具に息づく重厚さや威厳のルーツになっているんです。
◆ ローマ建築の特徴は「実用性+美しさ」

ローマ人は、ギリシャ建築の美的感覚を大切にしつつ、より実用的な工法や構造美を追求しました。
その代表格が「アーチ」や「ドーム」といった曲線を活かした構造。広い空間をつくりながら、建物に荘厳さとドラマチックな雰囲気を与える工夫です。
こうした構造の美しさは、実はクラシック家具にも受け継がれています。
例えば、大型のキャビネットやブックケースなどに見られるアーチ状の飾り枠、サイドボードのドーム型の装飾など。空間に“深み”や“格調”を加える、まさにローマ建築的な演出です。
◆ 柱列の秩序が生む威厳
ローマ建築といえば、ずらりと並んだ柱列(コロネード)も印象的ですよね。まるで行進する兵隊のように整然と並ぶその姿は、見た目の美しさと同時に、権威や格式を感じさせます。
クラシック家具の中でも、そうした「秩序あるデザイン」は重要なエッセンス。
チェストの正面に均等に配置された飾り柱や、重厚なサイドボードの側面装飾など、見る者に安心感と気品を与えるバランス感覚は、まさにローマの精神を映したものです。
◆ 家具に息づく“ローマ的”存在感
ローマ建築が与えた影響は、「形」だけではありません。
それは、“空間の主役になる存在感”という点でもクラシック家具に深く根を下ろしています。
例えば、リビングに置かれたマホガニー材の大きなキャビネット。
その佇まいには、まるでローマの神殿のような堂々たる風格があります。家具ひとつで空間の空気を変える力、これはまさにローマ建築が追い求めた「スケールの美学」とも言えるでしょう。
ローマ建築の壮大なスピリットは、いまもクラシックスタイル家具の随所に息づいています。
その背景を知ることで、家具の見方もきっと変わるはず。
“重厚さ”や“威厳”という言葉の奥にある物語を、ぜひ感じてみてください。
5.ローマ後期に開花した様式~トスカナ式・コンポジット式の特徴

ローマ建築がさらに進化を遂げた後期には、新たな柱のスタイルが登場します。
それが、「トスカナ式」と「コンポジット式」という2つの様式です。
どちらもギリシャや初期ローマの要素をうまく取り入れながら、より自由で実用的、そして時に華やかさも感じられるデザインへと進化しています。
この章では、そんな2つの柱様式が、どのように現代のクラシック家具に影響を与えているのかを見ていきましょう。
◆ 素朴さと力強さの象徴「トスカナ式」

トスカナ式は、ローマで生まれたもっともシンプルな柱様式のひとつ。
見た目はドリス式に似ていますが、より“すっきり”していて、柱の溝(フルート)がないのが特徴です。装飾も控えめで、どこか温かみのある雰囲気。
クラシック家具でいうと、トスカナ式の精神は、素朴だけれど上品な木製家具に色濃く表れています。例えば、無垢材のナイトテーブルや、控えめな装飾のチェストなど。華美な飾りではなく、木そのものの美しさやフォルムのバランスで魅せるデザインは、まさに“実用性と美の融合”というトスカナ式の美学を感じさせます。
◆ 贅沢な装飾が魅力の「コンポジット式」

コンポジット式は“盛り合わせ”という意味の通り、イオニア式の優雅な渦巻きと、コリント式のアカンサス装飾を組み合わせたゴージャスな様式です。
いわば「いいとこ取り」の柱デザインで、ローマの後期になると神殿や公共建築の象徴としてよく使われました。
クラシックスタイル家具では、このコンポジット式の流れをくむ華やかな脚部装飾や彫刻パーツが見どころです。たとえば、猫脚のテーブルや、精緻なアカンサスの彫りが施されたコンソールテーブルなど、ただの家具ではなく「芸術品」としての存在感を放つアイテムが多く見られます。
◆ トスカナ式とコンポジット式 ― 対照的な魅力が家具の幅を広げる
トスカナ式とコンポジット式は、対照的ともいえるスタイルですが、どちらも現代のクラシック家具に欠かせないエッセンスです。
シンプルで落ち着いた空間を演出したいならトスカナ式のようなデザインを。
一方で、空間に華やかさやインパクトを加えたいときは、コンポジット式の意匠がぴったり。
この2つの柱様式を知っていると、家具選びの目線がちょっと変わります。
「この脚、なんだか重厚なのに派手すぎないな」とか、「この彫刻、ローマ建築の流れを感じる!」といった発見があって、クラシック家具の奥深さをより楽しめるはずです。
クラシックスタイル家具に宿るのは、見た目の美しさだけではなく、何千年も続くデザインの知恵と感性。
トスカナ式とコンポジット式という“ローマ後期の進化形”を知ることで、その魅力がよりリアルに感じられるようになるはずです。
6.まとめ~古代の美を現代の暮らしに
クラシックスタイル家具って、一見「昔っぽい」「重厚すぎる」と思われがちかもしれません。
でもそのデザインには、実は古代ギリシャやローマの建築に通じる深い意味と美意識が込められているんです。
シンプルで力強いドリス式、優雅なイオニア式、華やかなコリント式――。
その柱のデザインは、家具の脚や装飾、フォルムにまでしっかりと影響を与えています。
そして、実用性と美しさのバランスを極めたトスカナ式やコンポジット式の流れも、現代のクラシック家具に息づいています。
つまりクラシックスタイル家具は、ただ「古いデザインを再現したもの」ではなく、何千年もの時を超えて受け継がれてきた美の哲学を、今の暮らしに届けてくれる存在なのです。
私たちメゾン・ド・マルシェでは、そんな背景を大切にしたクラシック家具や輸入インテリア雑貨を豊富に取り揃えています。
「なんだか心惹かれる」「どこか品がある」「置くだけで空間が整う」――そんな魅力を、ぜひ実際に見て、触れて、感じていただきたいと思います。
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