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歴史

～Art Deco～アール・デコについて

アールデコとは

1910年代半ば～1930年代にヨーロッパおよびアメリカ（ニューヨーク）を中心に流行した建築、家具、絵画、ポスター、工芸、ファッションなど多岐にわたるデザインです。
フランス語で「装飾美術」「Art （芸術）＋Déco（装飾）」を意味し1925年のパリ万国博覧会にて、アールヌーボーに次ぐ現代の様式（スティル・モデルヌ）として「幅広いジャンルのアールデコ作品が紹介されました。

当時のパリではそれほど人気は出ませんでしたが、第一次世界大戦の戦勝国となったアメリカでは自動車、映画、ジャズなど芸術や文化の面でも世界の中心となり流行していきます。
アールデコ様式は、インテリアやファッションなど都市生活者の生活スタイルを象徴するものとなりました。
特にニューヨーク・マンハッタンのエンパイア・ステート・ビル、クライスラー・ビルは、アールデコ様式の代表的な建築物として有名で、
クライスラー・ビルはマンハッタンのシンボル的存在であり、アールデコ建築の最高傑作とも言われています。

アールデコのデザインは直線的で幾何学図形をモチーフ、機能的で実用的な、合理的なデザインが多く、原色の対比などが美として考えられています。
また、ダンスやジャズ、ハリウッド映画など、ジャズ・エイジに象徴される豪華できらびやかなものがベースとなっています。

1922年エジプトでツタンカーメンの墓が発見されたのをきっかけに、幾何学的で直線的なデザインの人気が復活し
エジプトの象徴的なモチーフを大胆に用いる華美なデザインも取り入れられ人気を博しました。

流行したしたものはシンプルな中にも、クールで目を引くデザインが多く、この時代に急成長したダンスや映画など、ハリウッドの華やかなイメージが反映されています。
光を反射するきらびやかな白、金、銀と黒を中心としたメタリック＆モノトーンの組み合わせや、金属は光沢のあるジュラルミンやアルミニウムに、ジグザグのラインが代表的です。

左右対称を意識しているのも大きな特徴です。

インテリアの基本的デザインは、エジプトのデザインから影響を受けたイギリスのリージェンシースタイル、ドイツやオーストリアのビーダーマイヤースタイルがベースとなります。
そこにバウハウスなどで開発が始まったスチールパイプや、ミラー、メタル素材を取り入れたモダンを融合させた様なデザインとなります。

アールデコは、今現在も使われているモダンな柄の元となっており、装飾や、美術様式をみて「ああー、モダンだなー」と思うのは、このアールデコ以降からのものとなります。
芸術やデザインは、一部の特権階級のものから、大量生産の商品を求め始めた大衆のものへと時代が変化していきました。

アールデコの代表的な建築として何よりも有名なのが、1930年代に建てられたニューヨークの摩天楼（クライスラー・ビルディング、エンパイア・ステート・ビルディング、ロックフェラーセンターなど）です。

マンハッタンやニューヨークには、アールデコの時代に建てられたビルがまだまだたくさん残っています。

日本だと特に有名なのが東京都庭園美術館（朝香宮邸）です。
戦前、パリに遊学していた朝香宮夫妻の邸宅として昭和8年に建造され、昭和58年に美術館として開館しました。
フランス人芸術家アンリ・ラパンに主要な部屋の設計を依頼し建てられた建物は「アール・デコの美術品」とも称され、平成27年に国の重要文化財に指定されています。

東京都庭園美術館｜本館の各室について (teien-art-museum.ne.jp)