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クラシック家具に施された文様とその意味
今回は皆さんに新しいクラシック家具の楽しみ方をお伝えします。
皆さんは、クラシック家具には施されたデザインや文様にも
意味や願いが込められていることをご存知ですか。
実はクラシック家具の装飾や文様にも、西洋美術史や音楽史のように、
歴史があります。今回はその一例として、
いくつかの文様とそれらが施されている家具や雑貨をご紹介します。
【生命の木】
時代はさかのぼり、元々生命の木は古代オリエントの
実は今日のクリスマス・ツリーも、
1本の木から枝がのびていく
生命の木の飾りだと言われています。
以降、17世紀に英国で流行し、
木の周りに様々なものをぶら下げるようになりました。
19世紀には、自然への関心が高まり、
植物の世界が注目されましたが、
木の枝やつるがのび広がっていく空間に魅せられ、
特にウィリアム・モリスや
アール・ヌーボーのデザインをはじめ、
家具や絵にも使われていきました。
グスタフ・クリムトの
「生命の木」にも描かれています。
【本店で扱っている家具・雑貨】
●「額絵」
●「照明」
神戸本店 3階にて展示
●「イタリア製 ダイニングチェア」
神戸本店3階にて展示
【アカンサス】
~デザインが発生した経緯とこれまでの生い立ち~
アカンサスは、ギリシャを代表する文様で、
ヨーロッパに広まり、バロック時代に大ブレイクしました。
ギリシア人はコリント式の柱頭にアカンサスを施し、
その後ロマネスク建築に使われ、
中世の写本文化で平面的な挿絵装飾として、
その後は19世紀に再び使われるようになりました。
例えば、ゴシック・リバイバルの中で、
ウィリアムモリスも使っています。
ウィリアムモリス「アカンサス」
《神戸本店で扱っている家具・雑貨》
「チェスト」神戸本店 3階にて展示
【ぶどう】
~デザインが発生した経緯とこれまでの生い立ち~
西洋では、ぶどうは、単にぶどうという意味合い以外に、
ワインが作られる果物として、また酒や酔い、
祭りのイメージもあります。ぶどうの房はもちろん、
それらをつなぐヴァイン(つた)も重要です。
古代エジプトでもぶどうの木は描かれていましたが、
ぶどうづるの曲線は発見されていませんでした。
ギリシアにて唐草の曲線が作られ、
ぶどうと結びつくようになったと言われています。
【いちご】
西洋でいちごは、そのみじみずしさから
愛の女神の象徴と言われ、聖母マリアを表す果物でもあります。
文様として、古くから愛されてきました。おとぎ話では、
いちごは妖精たちの食べ物とも言われました。
ウィリアム・モリス作「いちご泥棒」
【百合(ゆり)】
~デザインが発生した経緯とこれまでの生い立ち~
ゆりは、白さ、純潔を表し、聖母マリアの花と
言われています。また、両性的な意味を持っています。
一方でとても種類が多い花の為、1つの意味に限定
しづらい花でもあります。花形としては、
まだ開いていない花、長い筒状と大きく開花した花が
あり、上から覗いたものや、真横から見た形もあります。
主に模様が使われたのは、ゴシック以降の様式や、
アール・ヌーヴォーにおいてですが、古代オリエントや
クレタ等に始まっていたことから、古い歴史を持っています。
(本店で扱っている家具・雑貨)
アルフォンス・ミュシャによる、「花4部作」より<ゆり>の
作品がモチーフになった家具を紹介致します。
メゾンドマルシェ神戸本店 3階にて展示
【薔薇(バラ)】
~デザインが発生した経緯とこれまでの生い立ち~
文様としてのバラは、花そのものと、とげのあるつる草の
2つによって描かれ、バラの2面性を表しています。
ゴシック以降の様式で用いられ、ゆりと同じく、
聖書の聖母マリアの花でもあり、ギリシャの
女神アプロディーテー(ヴィーナス)の花でもあります。
美しい花はいばらによって守られています。
バラの花単体においては、はじめシンプルな
円形でしたが、しだいに花弁が複雑に重なり
巻いていくような、現代でもよく見られる花形に
発展していきました。キリスト教において、バラと
十字がよく組み合わされるのは、バラ十字が
永遠の世界を意味する為です。
(神戸本店で扱っている家具・雑貨)
【 馬 】
~デザインが発生した経緯とこれまでの生い立ち~
馬は日本人にとっても馴染みがある動物では
ないでしょうか。馬のイメージそのものだけ
ではなく、馬の装飾としての馬具(くつわ、鞍、あぶみ等)
も独自に発展してきました。走る姿も美しく、
馬車を引くことや、人を乗せる2つの仕事をする為、
馬車と乗馬という2つのシーンで描かれることもあります。
ギリシャやケルト以降の様式で主に使われ、
現代においても、動物の中で最も馴染み深い模様、
モチーフの一つになっています。
(神戸本店で扱っている家具・雑貨)
メゾンドマルシェ神戸本店 3階にて展示
【 ステンドグラス 】
~デザインが発生した経緯とこれまでの生い立ち~
ステンドグラスは12世紀から15世紀の
ゴシック様式の時代に華やかに展開していきました。
ステンドグラスは、いわばゴシック芸術の中心
とも言えました。形態的な魅力や、物語絵としての
絵画製において魅力があり、今でも人々を
魅了しています。光とガラスによって、更に
美しく輝きます。代表的な建築物では、フランスの
ノートルダム大聖堂や、ストラスブール大聖堂の
バラ窓において、ステンドグラスも使われております。
光を灯し、癒やしを与えるステンドグラスを
日常に取りれてみてはいかがでしょうか。
(神戸本店で扱っている家具・雑貨)
メゾンドマルシェ神戸本店 3階階段にて展示
いかがでしたか。家具を見る新しい視点を
皆さまに分かって頂ければ幸いです。
是非、暮らしの中にヨーロッパの歴史が
詰まった家具を取り入れてみてはいかがでしょうか。
上記以外にも、メゾンドマルシェでは、
豊富なクラシック家具・雑貨を取り扱っております。
私達が家具選びのお力になれれば幸いです。
※ 参考文献『ヨーロッパの装飾と文様』
海野 弘 2013 株式会社 パイ インターナショナル
p.130,156-158,160,161
p.136,138-139,168, 218-219