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レジ対応 ― 会計時の判断と対応を揃える ―
~目次~
1.レジ対応の基本的な考え方
2.会計の入口で行うこと
3.会計時の金額確認
4.支払い方法別会計ポイント
5.領収書の扱いについて(収入印紙・割印込み)
6.最後の渡し方
7.まとめ
お会計は、買い物の最後の工程です。
同時に、お店の正確さや確認力が、そのまま評価される時間でもあります。
売場でどれだけ丁寧な接客を行っていても、会計の数分間で不安や違和感が残れば、「良い買い物だった」という印象は簡単に揺らぎます。
レジは、単なる精算の場所ではありません。商品、金額、支払い方法、袋、ラッピング、領収書。
多くの情報が集中するからこそ、その対応の一つひとつが、店の姿勢としてそのまま伝わります。
初めてレジに立つ方でも、流れがつかめる形にまとめました。
このトピックスでは、会計の場面で迷いやすい判断を、順番・言葉・動作として示します。
【ひとこと】
レジは“最後の1分で好感度が決まる”舞台。落ち着きがいちばんの近道です。

1.レジ対応の基本的な考え方
― 確認事項が集中するからこそ、言葉で共有する ―
レジでは、次のような確認事項が一度に重なります。
•点数
•金額
•支払い方法
•袋・ラッピング
•領収書
•駐車サービスの有無
など
この状態で黙って作業を進めると、お客様は「いま何を確認しているのか」が分からないままになります。
その結果、聞き違い・認識のズレ・小さな不安が生まれやすくなります。
レジ対応で大切なのは、作業を早く終わらせることではありません。
「今どこまで進んでいるか」「何を確認しているか」「次に何を行うか」を、短く言葉にしてお客様にお伝えしましょう。
【ひとこと】
無言は早そうで実は遠回り。ひと言添えるだけで、行き違いはスッと減ります。
それだけで、多くの行き違いは小さくできます。
レジ対応も接客の一部として行う
レジに立つ時間も、売場に立つ時間と同じです。
言葉遣い、立ち位置、手の動かし方。
これらが乱れると、それまで積み重ねてきた印象が、会計の数分で下がってしまうことがあります。
レジは「作業」ではなく「対応」です。
正確さだけでなく、丁寧に確認していることが相手に伝わっているかどうかを重視します。
レジ対応は、商品と一緒に「この店で買ってよかった」という感覚を手渡す場面です。
私たちのお店では、確認を省略せず、言葉と動作で共有することをレジ対応の基本としています。
確認する順番や使う言葉は、以降の章で具体的に扱います。
また笑顔を忘れずに。
2.会計の入口で行うこと
― 会計の始まりで、商品を預かることを伝える ―
会計が始まると、お客様は一度商品を手放します。ここで不安を残さないため、最初に流れを共有します。
会計に入るときは、次の順で声をかけます。
「ありがとうございます」
【ひとこと】
最初の「ありがとうございます」は、会計のスタートボタン。押すと流れが整います。
「商品をお預かりいたします」
この一言があるだけで、会計の進み方が「見える状態」になります。
トラブルになりやすい点は会計前に共有する
商品の確認事項のお伝え
後から説明すると「聞いていない」に変わりやすい点ほど、会計前に、商品を見せながら短く共有します。
お店できちんと決め事をしておくと良いでしょう。
私たちのお店では、次の点を必ず会計前に確認すべきことを決めています。
・食品(賞味期限)
賞味期限シールを指し示しながら「賞味期限は〇月〇日でございます。」
・サイズ展開がある布製品(テーブルクロス/ランナー等)
サイズ表示を見せながら「サイズのお間違えはありませんか?」
・衛生商品/布物(タオル・ハンカチ・ランナー・テーブルマット等)
「衛生商品のため、返品・交換は承れません。」
・その他 返品・交換不可(対象商品)
「こちらは返品・交換ができない商品です。よろしいでしょうか。」
・アウトレット商品(キズ等の状態確認)
「アウトレット商品のため返品・交換ができない商品です。よろしいでしょうか。」
またキズ等を指し示しながら、お客様と一緒に確認「こちらの状態をご確認ください。」
【ひとこと】
後出し説明は「聞いてない」に変身しがち。先に短く、が安全運転です。これ以外にも、業種や店舗の方針によって共有すべき点は異なります。
各店舗で、事前にリストアップしておくことをおすすめします。
目的は提案ではなく、行き違いを残さないための共有です。
用途確認を行う ― 用途確認は、渡し方の行き違いを防ぐために行う ―
「ご自宅用ですか」「贈り物ですか」の確認は、包装や渡し方の行き違いを防ぐために行います。
用途が決まれば、必要な案内が自然に絞れます。
【ひとこと】用途確認は“渡し方の地図作り”。先に聞くと、包装も案内も迷いません。
ラッピングを案内する
― 選択肢を整えて、答えやすく案内する ―
用途を伺ったうえで、選択肢を絞って伝えます。
×「どれにしますか」
○「こちらとこちらがございます」
選ばせるのではなく、答えやすい形に整えて伺います。
【ひとこと】
選択肢は多いほど迷子になりがち。まずは“答えやすい2択”が親切です。
私たちのお店では、選んでいただきやすく、またレジ担当者が説明しやすくするために、
ラッピングの一覧を本部で作成し、レジ付近に設置しています。
そのうえで、選択肢を絞って案内します。

袋のご案内を行う
― 有料ルールは事実を丁寧に伝え、サイズは実物で確認する ―
袋が有料の場合は、事実をそのまま丁寧に伝えます。
「お手提げ袋は有料ですが、ご利用になりますか」
曖昧に聞いたり、黙って進めたりせず、最初に共有します。
袋を購入いただく場合は、必ず実物を見せてサイズを確認します。仕上がりの安定感は、ここで決まります。
レジ袋の一覧表があるとわかりやすいですね。
【ひとこと】袋は“最後の衣装”。サイズが合うと、見た目も安心もきれいに整います。

※容器包装リサイクル法(2020年7月1日施行)
「特定プラスチック製買物袋の無償配布を禁止」となっています。
対象:小売事業者(業種・規模を問わず原則対象)
-
例外:バイオマスプラスチック配合率25%以上
3.会計時の金額確認
― 金額は、伝えたかどうかではなく、残ったかどうか ―
金額確認は、会計の中で一番「伝わったつもり」が起きやすい場面です。
財布やカードの準備で注意が分散しているため、こちらの言い方と間が、そのまま認識の差になります。
私たちのお店では、金額は「聞こえる形」で言い切り、「終わった合図」を作ってから次に進みます。
点数と金額をセットで伝える
【ひとこと】金額は早口だと呪文になりがち。言い切って一拍、が効きます。
スキャンが終わったら、合計金額を画面で確認してからお客様に伝えます。
伝え方は、次の形を基本とします。
「合計〇点で、〇〇円でございます」
言い終えたら一拍おき、相手が聞けた状態を作ってから次に進みます。
支払い方法を確認する
【ひとこと】お支払い方法の確認は“方向指示器”。先に出すと、流れがスムーズになります。
金額を伝え終えてから、支払い方法を確認します。急いでいるときほど、順番が入れ替わりやすいポイントです。
×「お支払い方法は?」
○「お支払い方法はいかがいたしましょうか?」
お客様の手元が現金・カード・スマートフォンのどれに向いていても、こちらから一度言葉で確認します。
支払いの流れを共有する
支払いは、スタッフが流れを作ります。次の案内がないまま操作だけが進む状態をつくらないようにします。
■現金の場合
「〇〇円、お預かりいたします」→「お釣り〇〇円でございます」
■キャッシュレスの場合
「こちらにかざしてください」/「暗証番号の入力をお願いいたします」
→「こちらでお支払い、完了しております」
共通の確認を行う
支払い方法に関わらず、次の確認は動作と言葉で一緒に行います。
【ひとこと】
確認は“保険”。何も起きない日ほど、じつはしっかり働いています。
・金額は声に出して伝える
・お釣りは目の前で数える
・暗証番号入力中は視線を外す
・レシート内容は必要に応じて一緒に確認する
(例:点数が多い/金額が大きい/お客様がレシートを見返している場合)
【ひとこと】現金は“見える化”が命。手元で消えると、お客様の不安が増えます。
4.支払い方法別会計ポイント
現金での会計を行う
― 現金は、行き違いが起きやすい分だけ、形で共有する ―
現金は、金額の勘違い・渡した/渡していないの認識違い・お釣りの数え間違いが起きやすい支払い方法です。
そのため私たちのお店では、「見える・聞こえる・順番を守る」を基本にします。
また現金をレジに入れる順番は意見が分かれるところです。
スタッフ任せにならないように事前に取り決めをしておきましょう。
以下は私たちのお店での取り決めを例示させてもらいます。
1)お客様からのお預かり金はカルトンに置いていただく
→お預かり金を正確に確認するためにカルトンに置く
※基本は手渡しで受け取らない(カルトンを出して受け取り口を作る)
2)お預かり金額をお客様にわかるように声を出して確認
※お札・小銭が重なっていないか必ず触ってチェック(1枚ずつ確認)
・ お釣りがない場合→「◯◯◯◯円頂戴します」
・ お釣りがある場合→「◯◯◯◯円お預かりします」
× 「◯◯◯◯円から頂戴します」
× 「~から」「なります」は言わない
【ひとこと】「から」は余計な一言になりやすいポイント。金額はスパッと言い切ると、会計が締まります。
3)お預かり金をカルトンと共に引き、レジ上に一度置く
※ここで先にドロアへしまわない(渡した/渡していないの行き違い防止)
※置く位置は「お客様から見える範囲」を基本にする
4)お預かり金額をPOSレジに入力する
→ お預かり金とPOS入力金額が合っているか確認する(指差し確認①)
※指差しは「レジ上の現金→画面入力金額」の順で行う(見間違い防止)
5)お預かり金をドロア内に格納する
※格納は「指差し確認①の後」。確認前にしまわない
※お会計の最後まで置いておく、とするお店もあります。
私たちはしまい忘れにより盗難被害を経験したので
ここで先にしまうことをルール化しています。
6)お釣りをドロア内から出しカルトンに置く
→レシートのお釣り金額とカルトン上の釣銭が同じか確認する(指差し確認②)
※お釣りは「紙幣→硬貨」の順で置く(お客様が見て分かる並びにする)
【ひとこと】お釣りは“並び”が説明になります。見た瞬間に分かる配置が最強です。
7)お釣りはお客様と一緒に確認を!
・ お釣りを置いたカルトンをお客様の前に出し、横にレシートを置く
・ 手差しと声でお釣りの金額をお伝えする
→お札を重ねたまま返さず、お客様の前で数えてお渡し(3回目の確認)
8)レシートとお釣りをお客様が受け取ったことも必ず確認する
※カルトンに硬貨など残っていないようにキャッシュレス・カード決済を行う

支払いの流れを共有する
キャッシュレスは、確定が目に見えにくい支払いです。だからこそ、画面と声で「いま何が起きているか」を共有します。
【ひとこと】画面は“字幕”、声は“ナレーション”。両方そろうと安心感が一気に上がります。
【ひとこと】暗証番号中は“見ない勇気”。信用はのぞき見よりずっと大事です。
私たちのお店では
・ 金額を声に出して言い切ってから、端末操作に入る
・ 端末はお客様側に向け、操作の一言を添える(例:「こちらで暗証番号をご入力ください」/「こちらにタッチをお願いします」)
・ 入力・タッチの間は視線を外し、端末から少し距離を取る
お客様が暗証番号入力時は端末が見えないよう体を90度回転させ目を逸らす。
体を大きく反らすことにより私は見ていませんとアピールにもなります。
・ 完了表示(承認)を確認してから、レシートを出す
・ 最後に「こちらでお支払い、完了しております」と言葉で締める
避けたいことを押さえる
次の動きは、不安が残りやすくなります。迷ったら避けます。
•金額を言い切る前に、端末操作を始める
•お客様の操作中に、画面や手元をのぞき込む
•完了表示を共有せずに処理を終える
•レシートだけを無言で渡して、次に進む
これらは「本当に支払われたのか分からない」という不安を残します。
迷ったときの判断基準を持つ
迷ったら「今、何が起きているか分かる状態か?」を基準にします。
•分かりにくい →声に出す
•見えない →画面を見せる
•安心が伝わる方を選ぶ
5.領収書の扱いについて(収入印紙・割印込み)
― 金額の正確さを、最後まで形に残す ―
領収書は、金額・税務・法人処理に関わるため、後から修正がききにくい書類です。私たちのお店では「発行前の確認」を重視します。
【ひとこと】領収書は“未来の自分”への手紙。丁寧に書くと、あとが楽です。
発行前に確認する
1.宛名と但し書きを、先に口頭で確認する(「宛名はいかがいたしましょうか」「但し書きはどのようにいたしますか」)
2.金額・日付を記入後、全体を一度見直す(書き終えた直後に一拍おく)
3.収入印紙の要否を、この時点で判断する
4.印紙を貼付したら、割印まで終えてからお渡しする
この順番は、速く書くためではなく、書き直しを出さないための順番です。
収入印紙の要否を判断する
売上代金の領収書は、記載金額が5万円未満の場合は非課税、5万円以上は課税(例:5万円以上100万円以下は200円)となります。金額区分は国税庁の印紙税の一覧に従います。
判断に迷う場合は、その場で勝手に決めず、必ず確認します。
レジ付近に一覧表が置いてあるといいですね。
また、必ず収入印紙には必ず適切な場所に消印をしましょう。
【ひとこと】印紙は“あとで気づく”がいちばん痛いところ。迷ったら、その場で確認が正解です。
お渡し前に一言添える
お渡しする前に、内容を一緒に確認します。
「内容はこちらでお間違いないでしょうか」
無言で渡さず、最後に一度だけ共有します。
迷ったときの判断基準を持つ
領収書で迷ったら、「勝手に判断しない」を基準にします。
• 分からない → 確認する
• 迷う → 人を呼ぶ
6.最後の渡し方
― 会計の最後で印象は決まる ―
会計が正確でも、渡し方が雑だと印象は下がります。最後の数秒で、「大切に扱ってくれた」という感覚が決まります。
渡し切るところまで行う
私たちのお店では、ラッピングや袋詰め後はその場で確認いただき、状況に応じて両手でお渡しし、最後にお見送りまで行います。ここまでを含めて、レジ対応と考えています。

【ひとこと】会計の最後はエンディング。余韻まで丁寧だと「また来よう」が生まれます。
7.まとめ
― レジは「正確さ」より「安心の設計」 ―
レジ対応で大切なのは、速さや要領の良さではありません。
・先に伝える
・一緒に確認する
・確認を動作で見せる
・最後まで丁寧に終える
この積み重ねが、「買ってよかった」という実感につながります。
レジは、商品の受け渡しであると同時に、お店の信頼を手渡す場所です。
一つひとつの会計に、その意識を込めて向き合っていきましょう。





