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~家具に使用される木材~ 時代を支えた背景《 家具の知識シリーズ 》
~家具に使用される木材~ 時代を支えた背景
~目次~
・オーク材について ・ウォールナット材について ・マホガニー材について ・サテンウッド材について
オーク材について
コブ科コナラ属の落葉広葉樹で、北海道やロシアをはじめとする寒冷地、またはアメリカやカナダなどの北米に分布しています。
丈夫で硬く、時間が経っても反りづらいという特徴があるオークは、古くから酒造用の樽や家具などに使用されており、アンティーク家具などにもオーク材が用いられています
オークの時代
1500年から1660年の約110年間、ヨーロッパの建築や船舶建造などでオーク材が広く使われた時期の一つで、
オーク材はその強度や耐久性から、船の建造や建築構造物、家具などに理想的な材料と見なされました。
船舶建造においては、オーク材の耐水性や腐朽に対する耐性が重要であり、16世紀の大航海時代において多くの探検船や軍艦がオーク材で建造されました。
また、建築においても、オークは耐久性があり、構造部材や床、ドア、窓枠などに広く使用されており、この時代における
オーク材の利用は、技術や建築の進歩、発展に影響を与えた要因の一つとされています。
ヨーロッパでは15世紀末〜16世紀半ばのチューダー様式から家具に使用され、ジャコビアン様式でもよく使用されていました。
16世紀のヨーロッパにおける家具は、概して豪華で重厚なデザインが特徴で、オーク材が広く使われ、その特性を生かした堅牢な構造が一般的でした。
特徴的な要素:家具は一般的に頑丈で重厚なデザインが主流でした。
特にオークのような堅い木材を使用していたため、家具は重みがあり、丈夫で長持ちするものでした。
彫刻と細工: 家具の表面には彫刻や細工が施され、贅沢なデザインが一般的でした。
特に貴族や富裕な家庭の家具は、金ぴかや彫刻が施され、豪華な雰囲気を醸し出していました。
■ライトブラウンの色味なので、どんなお部屋にもマッチしやすいのが特徴です。
オーク材には一般的に「ナラ」「レッドオーク」「ホワイトオーク」の3種類があり、なかでも北海道産ミズナラは、世界最高峰のオーク材とも呼ばれます。
重量がある材質ですが、高い耐久性と耐水性があり、防虫効果もあります。
硬い素材ですが、加工が施しやすく、はっきりとした美しい木目が特徴で「ナラ」「レッドオーク」「ホワイトオーク」で異なる木目になり、同じオーク材でもさまざまな木目が楽しめます。
ただ乾燥には弱いため、エアコンの風が直接当たるような場所に置く場合は気をつけなければいけません。
ウォールナット材について
多くの家具に用いられるウォールナットは、クルミ科の落葉広葉樹です。
家具の材料としてよく使われる「クルミ」とは別物で「ブラックウォールナット」あるいは「アメリカンブラックウォールナット」と呼ばれる種類の総称で、主な産地はアメリカ、南米です。
優れた耐衝撃性・加工性からも、高級家具やアンティーク家具に使用されることが多くマホガニー、チークとともに世界3大銘木に数えられています。
ウォールナットの時代
ウォールナットの時代(1660年から1720年):約60年間
イギリスにおいて17世紀後半から18世紀初頭にかけて重要な時代でした。
この時期は、イングランド王国が王政復古期(1660年から1688年)からジョージ王朝初期(1714年から1720年)にかけて、政治的、経済的な安定を取り戻した時期として知られています。
この時代、ウォールナット(クルミの一種)は、高級家具や装飾品の主要な材料として広く使用されており、ウォールナットは、その美しい暗褐色や均一な質感が特徴です。
そして加工しやすい性質から、当時の富裕層や王室によって好まれました。ウォールナット製品は、バロック様式やウィリアム&メアリー様式といった当時の様々な様式の家具やインテリアに広く見られ、
1660年代に王政復古が起こり、チャールズ2世が王位に復帰したことで、イギリスは経済的な安定を取り戻し、商業や産業が発展しました。
この時期、海外貿易も拡大し、新しい市場が開かれました。この経済的繁栄は、富裕な市民階級の生活水準の向上や、豪華な家具や装飾品への需要の増加につながりました。
マホガニー材について
木材のなかでも高級な木材として知られるマホガニー。
マホガニーは、主に大きく分けて3種類に分類されます。
中南米が原産のセンダン科マホガニー属の3種の木(マホガニー、オオバマホガニー、メキシカンマホガニー)の総称で、中米ホンジュラスの現地語で「黄金色」を意味します。
現代では高級家具や、彫刻の材料として主に使用され、軽くて加工しやすいにも関わらず丈夫な材質のため、古くから調度品などに使われる木材として使われてきました。
マホガニーの時代
マホガニーの時代(1720年から1770年):約50年間
クイーンアン様式は、初めてのジョージ王朝時代(1714年から1727年)に特徴的なデザインが生まれました。
この様式は、エレガントで流線形のデザイン、曲線的な要素、そして細かい装飾が特徴であり、女性的で優雅な雰囲気を持っています。
クイーンアン様式の家具は、曲線のクローフィートやカーブしたバックスプラッツ、そして彫刻された細かな装飾が施されており、マホガニーの豊かな色合いと質感は、クイーンアン様式の家具において特に際立っていました。
一方、チッペンデール様式は、初期ジョージアン様式とも呼ばれ、トーマス・チッペンデールという名前から取られました。
彼は、マホガニーの時代において、多様なデザインの家具を提供しておりチッペンデール様式の家具は、より装飾的であり、バロック様式の影響が見られます。彫刻された細部、凹凸のある表面、そして複雑な曲線が特徴であり、マホガニーの美しい質感を際立たせました。
これらの様式は、マホガニーの時代における家具デザインの多様性と洗練度を象徴しています。クイーンアン様式の優雅さとチッペンデール様式の豪華さが融合し、18世紀のイギリスの家具は、世界中で称賛されるものとなりました。
サテンウッド材について
サテンウッド(Satinwood)は、主にインドやスリランカなどの地域で見られる、独特の美しい色合いを持つ木材です。主にシトロノールやシトロデンドロンという植物の種子の内部の部分から採取されます。サテンウッドは非常に硬く、密度が高く、滑らかな質感を持っており、非常に鮮やかで独特な黄色や明るい黄褐色をしています。この木材は、その美しい外観と加工しやすい性質から、高級な家具や装飾品、マリン用途などに広く使用されています。
サテンウッドの時代
サテンウッドの時代(1770年から1800年):約30年間
ネオクラシシズムは、古代ギリシャや古代ローマの美術や建築に影響を受けた様式であり、シンプルで対称的なデザイン、直線的な要素、そして古典的な装飾が特徴で、
この様式は、理性や秩序、古代の美の再発見を追求する啓蒙時代の思想と調和していました。
サテンウッドは、淡黄色から明るい茶色の木材であり、その美しい色合いと質感は、ネオクラシシズムのデザインと相性が良かったです。
この時代の家具は、シンプルでエレガントなデザインが特徴であり、しばしばギリシャの柱や彫刻などの古典的な要素が取り入れられました。
ネオクラシシズムの影響を受けた家具は、富裕層や上流社会の間で広く支持され、理性と秩序に基づいた美意識を表現し、啓蒙時代の精神を反映していました。
また、この時代には産業革命が進展し、技術や製造プロセスが進化しました。これにより、サテンウッドの家具の製造が効率化され、より多くの人々が手に入れることができるようになりました。
サテンウッドの時代は、ネオクラシシズムの影響を受けたエレガントでシンプルな家具が隆盛した時代であり、その美しいデザインと高度な製造技術は、今日でも称賛されています。
パイン材について
パイン材とは日本でもおなじみの松(マツ)を加工した木材です。
木目に節が現れるパインは世界中で愛用されている木材で、主に北米産のマツをパイン材と呼び、50種類以上あるマツの中でも「イエローパイン」「ホワイトパイン」「ポンデロッサパイン」「欧州アカマツ」などが家具用材として知られています。
木材自体が油分を多く含んでいるため、経年変化で艶や深みが生まれます。
温かみのある風合いと特有の香りで人気がある材質で、ナチュラルカントリーや、北欧系インテリアによく使われています。
また、比較的リーズナブルで、その加工のしやすさから近年はDIYにも用いられます
加工しやすい反面、柔らかく衝撃には弱いため、大切に扱わないと傷がついてしまいます。
チーク材について
南アジアを中心に分布するクマツヅラ科の広葉樹が原料の木材で、今から2000年以上前から使われており、 歴史の古い木材でマホガニーやウォールナットとならび、世界3大銘木の一つです。
耐水性・耐湿性があり、耐久性も高い丈夫な木材で、反りや割れが少ないため、古くから高級木材として高級家具などに使われてきました。
塩水にも強いため、豪華客船の甲板や内装材に使われており、クイーンエリザベス2世号にも採用されています。
筋が入った独特の木目が特徴で、もともと油分を含んでいるので美しい光沢があります
温度や湿度の変化に強く腐食耐性もあり、経年でツヤのある黄褐色になっていく変化を楽しめるのもチークの一つの魅力です。
メープル材について
メープル材は、カエデ材を英語にしたもので、主に、米国やカナダの北米地域が産地です。
高級家具や床材 、楽器材などによく使用されており、木質が重くて強固な「 ハードメイプル 材」と4/1程柔らかい「ソフトメイプル 材」が主流です。
特に人気なのが、杢目の中に鳥眼模様がついた「バーズアイメイプル」で、高価で加工が難しい木材といわれています。
耐久性が高く丈夫で、硬い材質のため衝撃や摩擦にも強く、傷がつきづらい材質です
硬いので加工はしづらいですが、ダイニングテーブルなど大型の家具に好んで使われます。
清潔感のあるやや白みがかったライトブラウンが特徴で、触り心地はツルツルとしており、独特のツヤを持っています。
メープル材の場合は飴色に変化していくので、段々と色に深みが出ていきます。
日本でも多くの大型家具に使われています。
ブナ材について
ブナ科ブナ属 落葉広葉樹で日本ではブナの名で呼ばれ、北海道南部から本州、四国、九州等の山の奥地に多く生育し、流通量が極めて少ないため、現在はヨーロッパからの輸入材である、同属のビーチを広く使用しています。
曲げやすい材質にも関わらず、硬くて丈夫な木材で接着性は比較的良く、衝撃にも強いです。
反面、変色、腐食もあり、乾燥をきちんと行わないと、曲がり、よじれなど狂いを生じます。
しかし、現代では人工乾燥、防腐処理などの技術進歩により加工需要が増えており、様々な分野で多く使用されています。
主にチェストやテレビボード等の脚物家具や、木製玩具、楽器の鍵盤などにも使用され、無味無臭の材のため、食品容器にも適しています。
ライトピンクのような明るい色が特徴で、近年人気の北欧風インテリアの材質として重宝されています。
ポプラ材について
ポプラというと、ダ・ヴィンチの描いた「モナリザ」が直接書かれた木材であるセイヨウハコヤナギ(西洋箱柳)を思い浮かべますが、
木材の世界ではポプラというと、モクレン科・ユリノキ属イエローポプラ(アメリカンホワイトウッド)を指すのが一般的です。
日本の木で言うと「ホオノキ」と同じ科になります。
「イタリアポプラ」「ユーラメリカポプラ」などと呼ばれるものもあります。
軽くて、清潔感のある白、さわやかな印象の木材で、用途としてはマッチの軸木や、ギターやウクレレなどの楽器、彫刻などに使用されています。
柔らかく綿密な肌目に人工乾燥・天然乾燥を問わず簡単に乾燥させられ、狂い生じにくく損傷が出にくいのも特徴です。
釘を打っても割れにくく、加工しやすさに加えて、塗装しやすいことから、DIY用の木材としても人気です。
ただし耐水性や防虫性は高くないため、屋外で使用するには不向きです。
生活する上で、長く時間をともにする家具。
素材を知って、より近くに感じていただけましたでしょうか。
ぜひ、店頭でもご覧くださいませ。皆さまのご来店をお待ちしております。